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2020.07.20 » 3か月 前

謎の白い球体と妖怪(一反木綿、ケサランパサラン、バックベアード)


2020年6月17日(水)に、宮城県を中心として福島県から山形県にかけた東北地方の空に、謎の白い大型気球状物体が現れました。

多くの人がこれを目撃し、SNSや報道などにおいて話題が拡散されましたが、その正体は未だ謎です。

球体は、十字状の物体をぶら下げ、2個のプロペラがついていたといいます。また、写真によってはソーラーパネルのようなものが着いていることが確認できます。

気象観測気球や、エアロゾル観測システム、googleの「ルーン・プロジェクト」の気球などとの類似点が指摘されていますが、国土交通省や警察などに事前の飛行計画等の申告はなく、推測の域を出ません。

ロシア、北朝鮮、韓国、中国辺りの海外から偏西風に乗って流れてきたものなのか、あるいは意図的に日本の上空を漂っていたのか、その目的は分かっていません。

空を漂う一反木綿

この謎の球体の、空を漂うという特徴からは、有名どころで「一反木綿」との類似性が見られます。

鬼太郎ファミリーとしても有名な一反木綿ですが、元は鹿児島県の大隅地方に現れたという妖怪で、志布志湾近くにそびえる権現山あたりでは、特に子供たちから怖がられていたと云われます。

見た目はまったく恐ろしくなく、ただの洗濯物が風にあおられて飛んでいるくらいにしか見えない一反木綿ですが、実は、人の首に巻き付いたり、顔面を覆ったりして、人の息の根を止めてしまうことがあると云われています。

幸せを呼ぶもふもふ

白くて丸く、空中を浮遊しているという点からは、「ケサランパサラン」を想起されます。

ケサランパサランは、白い毛玉のような物体で、空中を漂っているものです。

古くは、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には鮓荅(へいさらばさら、へいさらばさる)という玉のことが記載されています。

穴の開いた桐の箱の中でおしろいを与えることで飼育でき、繁殖したり、持ち主に幸せを呼んだりするという都市伝説が語られる妖怪です。

架空の西洋妖怪の総大将

色は異なりますが、巨大な球体が空にいるという意味では、「バックベアード」が連想されます。

バックベアードは、西洋妖怪の親玉として、「ゲゲゲの鬼太郎」に度々出てくる妖怪です。

初出としては日本の創作のようですが、水木しげる先生が「ゲゲゲの鬼太郎」において西洋妖怪の総大将として描き、妖怪の解説書にも登場したことから、日本国内では定着しています。

その姿は、巨大な黒い円形に枝のような物が放射状に生えており、中心に目が付いていて、夕方、ビル街に出現すると云われます。その巨大な一つ目で睨まれると強烈な目眩を起こすため、ビルの屋上などにいると落されてしまうとされます。光化学スモッグのようなものが正体だと云われることもあります。

この「バックベアード」や「空亡」などもそうですが、創作の妖怪が、実在のものとして語られるようになっていく過程は面白いですね。

また、「ぬらりひょん」や「アマビエ」など、色々な人が語っているうちに、当初の言い伝えとは違う形に変遷していく過程も面白いです。

今は定番となっている歴史ある妖怪たちも、最初は噂話や伝承から発生したはずで、その発生源を考察するのは興味深いです。

今回の宮城の謎の気球物体も、数年後には色々な尾ひれはひれが付いて、都市伝説のひとつとして語られているかもしれません。

画像=仙台市天文台

文=渡邉恵士老

■渡邉恵士老(けいちゃん)

北海道旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。公認情報システム監査人(CISA)、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。

現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。

現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。

Twitter:twitter.com/keishiro_w

ブログ:blog.livedoor.jp/meda3594/

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