河童も旅に出る!?川越に伝わる“お伊勢まいり三河童”の物語

5月の連休も終わって、夏がじわじわ近づいてきました。
7月5日の「川越妖怪まち歩き」も、そろそろ本格的に準備モード突入ですね。
今回は、そのイベントにも関わり深い、日本人なら誰でも知ってるスーパーメジャー妖怪「河童(かっぱ)」にスポットを当ててみます。
皿が乾くと弱るとか、きゅうりが大好物だとか、相撲が好きだとか……
いろんなイメージがある河童ですが、実は地域によってぜんぜん顔が違うんですよね。
そしてここ川越にも、ちょっと面白くて珍しい
三匹の河童が“お伊勢まいり”に出かけたという伝説が残っています。
川越の水辺に生きていた河童たち
登場するのは、川越・川島・坂戸の川や沼にいたとされる三匹の河童たち。
- 小次郎(こじろう)──川越市名細の小畔川(こあぜがわ)に住んでた
- 袈裟坊(けさぼう)──川島町の伊草のあたりにいたやつ
- かじ坊(かじぼう)──坂戸市の小沼からやってきたって話
いたずら好きな三匹が、なんと連れだってお伊勢まいりに出かけることになったんです。
写真:小畔川の小次郎(株式会社L4)

どこ行っても大盤振る舞い
この河童たち、旅に出たはいいけど、やたらと羽振りがいい。
茶店じゃ一番高いもんを頼むし、土産屋では上等なものばっか買うし、
まるで大名行列みたいな調子で、どこでも大盤振る舞い。
当然ですが、店の人たちは「何者だ?」ってなるわけで、
「三人連れの旅人には気をつけろ!」って、噂がまわり始めます。
だまされたぁあ!
んで、あやしんだお店の人が、もう一度お金を調べてみたら――
なんとそれは、田んぼにいる“たにし”のフタだった!
要するに、インチキ通貨です。
バレた三匹は当然ながら、街の人たちに追いかけられ、捕まって、
こっぴどく叱られます。
しかも変装がバレて、正体が「河童だった」と発覚。
それから二度と旅には出なかった
こうして、三匹の河童たちはすっかり大人しくなり、
それ以来、旅に出ることはなかった――と伝えられています。
この話にあるメッセージ
笑える話だけど、この話にはこんなような教訓もあるのかなぁ。と。
- 見栄張りすぎるとバレる
- 嘘はいつかバレる
- 人でも河童でも、身の丈に合った振る舞いが大事
あと何より、「河童も旅に出る」という衝撃。河童ってずっとその場所にいるイメージだったので。
人間と同じように、河童もどこかで冒険してみたかったのかもな、って。
さいごに
この話、川越市・川島町・坂戸市の地域にまたがって語り継がれている、かなり珍しいタイプの伝承です。
地元の水辺や町の風景を思い浮かべながら読むと、ちょっとその時代の空気を感じられる気がしてきます。
川越妖怪まち歩き当日、水辺のほうから“旅に未練のある河童たち”の気配を感じたら……
優しく見守ってあげてくださいね。
📚 出典
- 『川越の伝説』 埼玉県立川越図書館 所蔵資料
- 埼玉の伝説叢書・川越市周辺編(編集協力:川越郷土研究会)
- 地域民話調査資料(川島町・坂戸市 各教育委員会文化財課)
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