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人間が妖怪になる過程(羅生門)

本日は芥川龍之介生誕ということを
Googleさんが教えてくれたので
今日は代表作の「羅生門」について語ります。
羅生門
芥川さんは地獄とか神仏、鬼や悪魔とか河童とか
割と妖怪じみたことをよく著書に残されていました。
あらすじは以下

背景は平安時代。飢饉や辻風(竜巻)などの
天変地異が打ち続き、都は衰微していた。
ある暮れ方、荒廃した羅生門の下で若い下人が途方にくれていた。
下人は数日前、仕えていた主人から解雇された。
生活の糧を得る術も無い彼は、
いっそこのまま盗賊になろうかと思いつめるが、
どうしても「勇気」が出ない。
そんな折、羅生門の2階に人の気配を感じた彼は、
興味を覚えて上へ昇ってみた。
楼閣の上には身寄りの無い遺体がいくつも捨てられていたが、
その中に灯りが灯っている。老婆が松明を灯しながら、
若い女の遺体から髪を引き抜いているのである。
老婆の行為に激しい怒りを燃やした下人は刀を抜き、老婆に踊りかかった。
老婆は、抜いた髪で鬘を作って売ろうとしていた、と自身の行いを説明する。
それは自分が生きるための仕方の無い行いだ。
この女にしたところで、生前に蛇の干物を干魚だと偽って売り歩いていた。
それは、生きるために仕方が無く行った悪だ。
だから自分が髪を抜いたとて、この女は許すであろうと言う。
髪を抜く老婆に正義の心から怒りを燃やしていた下人だったが、
老婆の言葉を聞いて勇気が生まれる。
そして老婆を組み伏せて着物をはぎ取るや
「己(おのれ)もそうしなければ、餓死をする体なのだ。」と言い残し、
漆黒の闇の中へ消えていった。下人の行方は誰も知らない。
(Wikiペディアより抜粋)

薄明りの中で死人の毛を抜く
老婆はまるで妖怪です。
この話の見どころとしては
正義をもって老婆をこらしめようとした下人も
最終的に老婆と同じ世界に足を踏み入れたというところです。
正義も悪もなく、あるがままの命を表している名作ですね。
妖怪は悪
そう思われることがほとんどでしょう。
見た目や行いは一見おぞましく感じるかもしれません。
しかし、妖怪を生み出したのは我々人間です。
羅生門の老婆のように、
生きるために仕方なくしていた行為が、妖怪のように映った
だけなのかもしれません。
人は下人や老婆と同じ極限状態に陥った時
羅生(つらなる生)門をくぐりぬけ、
次第に妖怪の体をなしていくのでしょう。
今の日本で妖怪を見かけなくなったのは
そういった極限状態にある人間が少なくなったからだと思います。
しかし、世界を見渡すとおびただしい数の飢えに苦しむ人々がいます。
その人々が仕方なくする行為をあなたは
非人道(妖怪じみている)的だと思うでしょうか?
あわれむでしょうか?
おそらく普段はそんなことは考えずに
自分の生に夢中ですから、
身近に感じることができていない事だろうと思います。
日本って自殺者ってかなり多いですよね。
体罰やいじめ(鬼の所業)によるものだったり、
借金や生活苦(自他の業)によるものだったり。
だから
本当は現代にもいるはず
なのです、
追い詰められて行動が妖怪じみてきた人がたくさん。
世界中の子供たちを救うことは無理でも
気付いてあげられれば助ける
事はできるかもしれません。
皆さんもぜひ妖怪アンテナを高くしましょう!
近々、芥川さんの代表作、蜘蛛の糸(子供向け)についても
私なりの解釈でご紹介させて頂こうかと思います。
※ちなみに芥川さんは児童向け著書も多いんです!
子育て中の方はお子様を教育するうえで
かなりためになりますので是非♪

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