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妖怪界随一のハンサム?

――月を見上げると、ハンサムだった。

どうも、神代です。皆さんはこのGWいかがお過ごしでしょうか。私は先日、石川県羽咋市にある「コスモアイル羽咋」という博物館に行ってきました。ロケット等の機械や、大戦中に米軍のパイロットが見たとされるUFOの目撃報告書、UFO関係の論文などを展示しているオカルト好きにはたまらない場所です。

また、コスモアイル羽咋がある羽咋市は、知る人ぞ知る「UFOの町」です。街を歩けばリトルグレイが描かれた看板が目に入り、レストランへ入ればメニューにはUFOパフェの文字が。少々のゴリ押しすら感じますが、やるならこのくらい派手にした方が町おこしとしてPRになるのかなとも思います。

さて、コスモアイル羽咋で地球の外に思いを馳せた私は思い出しました。妖怪にも地球の外にいる者がいたことを。

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上の画像は絵本百物語に描かれた、月にいると言われる妖怪「桂男」です。満月でない時に月を長く見ていると、桂男に招かれて寿命が縮まるという逸話があります。

また、伊勢物語の中では「桂男のような」という同名の形容詞が存在します。意味合いとしては、まるで月に存在するもののように常人が触れがたい、神秘的な美しさの持ち主であるという意味です。竹の中から生まれる彼女と言い、月に住む者は美男美女しかいないのでしょうか。

ですが、仮にこの妖怪が美しさを意味する桂男と同一の言葉を用いた物であるとすれば、疑問が一つ発生します。それは、絵本百物語の挿絵に描かれた桂男の姿が、まるで煙のゆるキャラのように曖昧なものであるという点です。桂男という歴史ある言葉を名前に冠するのであれば、多少なりともそれを反映させた外見にするべきではないでしょうか。

しかしそれは、よくよく考えてみると描き手にとって酷な話でもあります。何故なら、いわゆるイケメンの定義は人によって異なるからです。線の細い美青年をイケメンだという人もいれば、筋肉質な男性をイケメンだと好む人もいますよね。

もしかしたら、絵本百物語の作者はそういった人の嗜好の機微を理解し、敢えて桂男の姿を雲海に隠れた人型のような姿にしたのかもしれません。雲が晴れた後には読者の理想の美男がいるよ、という想像の余地を残したのでしょう。

桂男が美男であるか、そうでもないか。そういった不要な議論はもしかしたらあらぬ人間関係の亀裂を生む要因になるかもしれません。それを未然に防いだ作者の気遣いこそ、真のイケメンなのかもしれない、などと思うGW3日目でした。

(画像:絵本百物語より)

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