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拝啓 岩手より 今現在、我らの隣にいる怪異

えまです。本職はSEです。リリース間近でバタバタしておりご無沙汰しました。前回はスタンダードな妖怪、河童の話をしましたが、今回は近代以降の怪異のお話をば。

皆さん、「バグ」のことは良くご存知のことかと思います。携帯端末と共にバグの名も広く知られて行きました。日本語としても浸透してきましたね。元々は虫を意味する英語ですが、機械等が不調をきたし思った通りに動かないことを言います。これも新しい妖怪と言えると私は思っています(海外生まれだから悪さをする妖精かもしれませんね)。
もちろんシステムにミスがあってバグることは多いです。耳の痛い話です。でも、それ以外に、プログラムにおかしなところは見当たらないし今まで何の問題もなく動いていたのにkのキーを打ったらパソコン固まった!とか、そういうこともある訳です。スマホが突然ブラックアウトするとかね。
本当はソフトやハードに問題があるのかもしれない。想定していない使い方をしているのかもしれない。偶然が重なっただけかもしれない。でもそれはみんなまとめてバグと呼ばれるのです。メカが好きで悪戯も好きな困った子ですね。ホントに。

ところで古来より人間は、その手に負えない大きな力や、人知を超えた不思議な出来事を恐れ、名を付け、カタチを与えてきました。神様だったり、妖怪だったり。川の神様、山の神様、海の神様。人を浚う天狗や山姥、川や厠で悪さをする河童や雪の夜に身体の自由を奪う雪女。今だって大雨が降れば川は決壊します。火山だって噴火します。でも、多くの山も今やGPSが動きスマホの電波も届くでしょうし、川もダムや堤防である程度はコントロールが出来るようになりました。トイレは水洗になったし、雪の夜に出歩いたってカイロや防寒着があれば生活圏内で寒さで動けなくなるなんてことも早々ないでしょう。昔は避けられなかった真っ暗な夜道も今はそれなりに明るくなっています。昔に比べたら人間が暮らせる範囲が広がったのですよね。
だからそれだけ妖怪は住処を追われたのだという方もいます。ただ私はそうは思いません。濡れ衣の可能性だってあると思いませんか?山で行方不明なったヒトがいた。それを天狗や山姥のせいにした。川でおぼれたヒトがいた。それを河童のせいにした。雪の夜に凍えて動けなくなりそのまま凍死したヒトがいた。それを雪女のせいにした。不幸な事故を整理するために、妖怪は良いように使われただけかもしれませんよね。時代を経て人間は今やかつて妖怪と恐れられたものたちと共生しているとも言えるのではないでしょうか。

今も妖怪たちはいたるところに住んでいて、人間たちに紛れて暮らしているかもしれません。妖怪が多く語られた時代、彼らは時代に即した姿で生活していたのですから、現代に適応している可能性だってあるでしょう?休日になれば山歩きをしている天狗や山姥、河原で釣りをしてバーベキューするのが趣味の河童、暑さに弱い雪女、ソフトもハードも大好きなバグ。どこかですれ違っているかもしれません。そして私は明日もバグと呼ばれる新しい怪異と向き合うのです。

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