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【映画】妖怪好きに勧めたいギレルモ・デル・トロの作品

ギレルモ・デル・トロの作品を見たことがありますか?「パンズ・ラビリンス」をはじめ、多くの映画への監督・脚本・製作で携わっています。

彼の作風は非常に独特です。中にはショッキングなもの、グロテスクなもの、すごく刺激が強いものも多く、万人におすすめできるかというとそうではない作品が多いです。ですが美術やデザイン、そしてクリーチャーの造形が非常に素晴らしく、その世界観から彼の作品のファンになったという方も多くいます。

そんなデル・トロの作品、実は妖怪やモンスター好きに刺さるものが非常に多いのではないかと気付きました。そこで「妖怪・モンスター好きに勧めたい」視点から、ギレルモ・デル・トロの監督・製作作品の中からおすすめの映画をご紹介していきたいと思います。

※今回は「妖怪・モンスター好き」におすすめするものとなります。他にもデル・トロは「パシフィック・リム」にも携わっていますが、今回こちらは省略させていただきます。同様の理由で、今回お勧めしていない人気作品も多々あります。ご了承ください。

ギレルモ・デル・トロ作品をおすすめする理由

ギレルモ・デル・トロは1964年メキシコ出身。映画に興味を持っていた彼は、最初は特殊メイクを学ぶようになりました。次第に映画に関わるようになり、29歳の時に監督として作品を撮るようになります。

おすすめ理由①特殊メイクを専攻していた

デル・トロはメキシコ国立自治大学付属映画学校で学び、その後「エクソシスト」などの特殊メイクを手がけたディック・スミスのもとで勉強していました。ディック・スミスはホラーやクリーチャーはもちろん、老けや汚れといったリアリティのある特殊メイクを担当していました。

デル・トロはそんなスミスのもとで技術を習得し、帰国後は特殊メイクや造形の会社を立ち上げました。彼の作品の特殊メイクや造形がクリーチャー好きに刺さるのは、この経験が生かされているといっても過言ではありません。

おすすめ理由②ハリウッド映画界きっての「オタク」

デル・トロは何を隠そう超オタク気質です。日本のカルチャーやクトゥルフ神話に非常に興味があり収集癖も非常に強いのだとか。

彼の作品は、アカデミー賞を受賞するほどの素晴らしいものもある一方で、オタク趣味全開なばかりに一般の視聴層にはあまり受けなかった作品もあります。彼の作品にはこれらのカルチャーのオマージュも多く、オタク層からの支持が厚いのはこの傾向があるからではないかと推測します。

おすすめ理由③デル・トロ監督は日本の作品が好き

デル・トロ監督は日本のアニメ・特撮に非常に影響を受けています。尊敬する人物に押井守を挙げており、特に『機動警察パトレイバー』が「パシフィック・リム」に多大な影響を与えたと公言しています。

他には円谷英二、永井豪、大友克洋、九重佑三子、スタジオジブリ作品に影響を受けています。

またデル・トロ監督は自身のコレクションを度々公開しており、その中には小泉八雲、水木しげる、菊池秀行など、日本のオカルトやポップカルチャーに関する資料も多く確認できます。また伊藤潤二氏がパンズ・ラビリンスのペイルマンをはじめデル・トロ作品のクリーチャーを書き下ろしたイラストも彼のコレクションの一部となっています。

デル・トロ監督はハリウッド映画界でも親日家を名乗る一人ですが、このように日本の作品への強い愛を感じることができるという点が、日本のファンからすると非常に嬉しく感じます。

おすすめ作品『デビルズ・バックボーン』(2001年)

2001年製作のスペイン映画。原題は「El Espinazo del Diablo(悪魔の背骨)」。第16回ゴヤ賞ほか、スペイン国内外の賞を受賞した。

あらすじ

スペイン内戦が終わりに近づいていた1939年が舞台。親を亡くし、孤児院サンタ・ルチアに連れて来られた少年カルロス。カルロスはその孤児院で少年の幽霊を目撃する。孤児院は中庭に不発弾が埋まったまま放置されているうえ、孤児院の職員たちも変わり者ばかりだった。

おすすめポイント(ネタバレなし)

ゴシック・ロマンスと戦争物語の融合という、デル・トロ監督の作風の一つが生かされている作品です。派手ではないものの、とても細かい箇所までこだわって作られており、その映像美はとても素晴らしいです。幽霊の少年もおどろおどろしい形相ですが、それ以上に明らかに異質な孤児院、戦争の緊迫した雰囲気、そして美しい情景がこの物語の恐ろしさをより際立たせています。

筆者の個人的な感想

子供が犠牲になる話はやっぱり辛い。戦争もだけど、孤児院での風景がすごく辛い場面が多かったです。ホラー映画と言っていますが、ホラー要素はほとんどないと思います。

雰囲気がすごく好きです。物語もすごくよく考えられていると思います。幽霊サンティも幽霊らしい恐ろしさの中に少年らしい可愛さが融合していて、より悲しさを際立たせます。

とにかく主人公カルロスが最初から救いがなさすぎて辛かった。そして中盤からはこの孤児院の状況がガラッと変わり、怒涛の展開になります。登場人物が最初はヤバいやつばかり!という気持ちになるのですが、だんだんと彼らの人間性が浮き彫りになり、それが逆に切なく感じられます。

おすすめ作品『ヘルボーイ』(2004年)

2004年制作のアメリカ映画。マイク・ミニョーラ作のアメコミ『ヘルボーイ』の映像化作品。ロン・パールマンがヘルボーイを演じた。

あらすじ

第二次世界大戦の終わりが見える1944年、ラスプーチンにより、下界に悪魔「ヘルボーイ」が召喚された。赤ん坊だったヘルボーイは、超常現象学者のブルーム博士によって育てられる。ヘルボーイはその60年後、超常現象調査防衛局(BRPD)のエージェントとして超自然的な存在と戦っていた。

おすすめポイント(ネタバレなし)

悪魔と戦う主人公自身が悪魔という異色な設定が特徴です。ヘルボーイの他にも発火能力を持つ女性・リズやサイコメトリー能力をを持つ半魚人・エイブなどといった能力者がタッグを組み、モンスターと戦います。ビジュアル的なつかみはバッチリです。世界観もデル・トロらしいダークファンタジーで、かつアクションや特撮のクオリティは素晴らしいと感じます。

筆者の個人的な感想

悪魔であるヘルボーイは、悪魔なのにどこか人間臭く、猫大好きだったり無骨で筋肉バカ。敵であるラスプーチンやナチスの残党もすごくいい味出しています。エイブやリズといった能力者の力を生かしたバトルシーンが見たかったなという不満は残ります。リズの発火能力とか映像的にはめちゃくちゃ映えると思ったんだけど…

「ヘルボーイ」は続編の「ゴールデンアーミー」と続きます。「人間滅ぼそう」的な考えの敵と戦うお話です(端折りすぎ?)。ダークなデザインのエルフがめちゃくちゃかっこいいんですよね。私はぶっちゃけこちらのゴールデンアーミーの方が好きなので、1作目を見て物足りないと感じた方はこちらも見て欲しいです。

そして2019年、ヘルボーイのリブート版が製作・公開されました。2019年版はSFXがとても進化し、話もハチャメチャ具合になっています。2004年&ゴールデンアーミーとは別物として見た方がいいかも(デル・トロ関わってないし)

おすすめ作品『パンズ・ラビリンス』(2006年)

2006年のメキシコ・スペイン・アメリカ合衆国のファンタジー映画。日本では2007年10月6日より公開された。PG12指定。

あらすじ

スペイン内戦により、父親を亡くした少女オフェリアは、妊娠中の母親と共にヴィダル大尉に引き取られる。ヴィダル大尉は独裁政権の主要人物であり、レジスタンスへの弾圧を繰り返していた。孤独なオフェリアは次第に妖精やおとぎ話の世界に引き込まれていく。ある夜のこと、オフェリアの前に妖精が現れ、森の奥にある迷宮へ導く。

おすすめポイント(ネタバレなし)

パン:迷宮の番人。オフェリアに「あなたは地底の王国の姫君なんだから試験をクリアせよ」という

ペイルマン:インパクトがすごい。

妖怪の「手の目」をモチーフにしているそうです。

今度これのネタバレありレビューを書きたいのですが構いませんねっ!

筆者の個人的な感想

有無を言わずともデル・トロ監督の代表作です。筆者はこの映画が大好きなので、語りが長くなる&うっかりネタバレしそうなので簡単に話します。

やはりこの映画の最たる評価としては「ダークファンタジーと戦争物語の融合」というところでしょう。もちろんクリーチャーや妖精を中心とした空想の世界も不気味なのですが、それ以上に現実である「戦争」の描写がとにかく怖い。

作品を通して全体的に陰鬱な雰囲気が流れ、現実の緊迫感が非常にリアルなだけに、空想の世界の奇妙さが際立ちます。ラストシーンも人によって感じ方が分かれるという非常に見がいのある作品です。グロテスクというより「痛い」ので(特にあの場面が…)苦手な人は注意です。

おすすめ作品『MAMA』(2013年)

2013年、スペインとカナダの共同制作。アンディ・ムスキエティが監督、ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務めた。

あらすじ

ルーカスはある日、森の奥の小屋で幼い姉妹を発見する。ボロボロの状態で発見された姉妹は、実はルーカスの兄であるジェフリーの娘だった。ジェフリーはこの出来事より5年前、ある凄惨な事件を起こしていた。このため非常に不安定な精神状態だった姉妹を、ドレイファス博士の協力のもと、ルーカスは恋人のアナベルと一緒に姉妹を迎えることにする。

おすすめポイント(ネタバレなし)

母親の怨念がテーマらしいです。妖怪に通じるところがありワクワクしますね。正体不明の「ママ」の存在と、子供たちのおかしな行動。そしてこの物語を取り巻く全てが不快感満載なのがホラーの真髄だと思います。ホラーはもちろんミステリー要素もあり、謎解き的なものが好きな人も楽しめると思います。

筆者の個人的な感想

すみません、ビビらす系ホラーが苦手なので見ていません。なのでyahoo!映画から参考になった感想をお伝えします。

「序盤の方がいい」(本当に?)

「やっぱり西洋的なホラーだからバーン!ドーン!ギャー!的なやつだよ!」(ああ、私ダメなやつだ)

「最後は賛否両論!雰囲気はいいよ」(デル・トロ監督らしいなぁ)

というわけで、いつか酒とポップコーン片手に見てみようと思います。申し訳ない。

おすすめ作品『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)

2017年公開アメリカ合衆国の恋愛ドラマ映画。第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で金獅子賞を受賞。日本ではオリジナルバージョンR18+、公開版R15+指定。

あらすじ

1962年の冷戦下のアメリカ、機密機関「航空宇宙研究センター」で清掃員として働いているイライザには発話障害があり、空虚な日々を過ごしている。ある日宇宙センターに「半魚人」と呼ばれる生物が運び込まれる。イライザは半魚人に惹かれ、心を通わせていく。

おすすめポイント(ネタバレなし)

これはもうガッツリ「デル・トロ監督のオタク趣味をつぎ込みまくった作品」ですね。そのため結構評価が分かれたようですが、ファンタジー好き・人外好きは大好きなものではないでしょうか。物語は単純で半魚人と人間との恋愛という、比較的わかりやすいです。グロ有り、セックス有りなので観る人を選ぶとは思いますが、陰鬱で美しい映像と音楽をぜひ楽しんでほしいです。

筆者の個人的な感想

私はすごく好きな映画なので、これも話すとネタバレしそうです。いつか記事書きます。一応半魚人って妖怪だからいいよね?ちなみに、この半魚人はアマゾンでは神と崇められているようです。

「この映画はなんだったのか?」「何を伝えたかったのか?」を考察しようとするとちょっと難しい。なぜならそれを言葉にしようとするとき、非常に陳腐になってしまうからです。話はとても明確でわかりやすい一方、意外性のある話が好きよいう人向けではないです。ただ、ラストシーンの感じ方はすごく分かれるかもしれません。デル・トロ監督の大得意なやつですね。

あと、どうやら色々な映画のオマージュやアンチテーゼが込められているようで、映画好きとしてはそこも意識して見ると面白いと思います。例えばわかりやすいところでいうと「人魚姫(原作の方)」と「美女と野獣」ではないでしょうか。これらのストーリーに対する監督の意向がガッツリ盛り込まれています。

おすすめ作品『スケアリーストーリーズ 怖い本』(2019年)

2019年のアメリカ合衆国・カナダのホラー映画。恐ろしいストーリーと挿絵で図書館に置くことを禁止された「怖い本」を題材にしている。監督アンドレ・ウーヴレダル。

あらすじ

ステラ、オーギー、チャックの3人は幽霊屋敷に入り込んでしまう。その中で怪談が多数記された本を発見した。そこには怖い話の数々が記されており、作家志望だったステラは密かにその本を持ち去ってしまう。ところが本の余白ページに一つ、また一つと新しい物語が記され、仲間たちも一人、また一人と消えていくのであった。

おすすめポイント(ネタバレなし)

怖すぎわロタ

筆者の個人的な感想

すみません、これも見れてません。お察しかもしれませんが私はホラー映画苦手です。

題材的には王道ホラー的な感じでとても面白そうですね。結構多くのモンスターが登場して人を襲うのですが、これが見る限りすごくデル・トロ監督らしさ抜群です。

デル・トロ監督はこの原作である「Scary Stories to Tell in the Dark」(原作邦題「だれかが墓地からやってくる」)が大好きだったというのだから、そりゃあノリノリで作るでしょという感じです。気になった方は是非観てみてください。2020年3月現在全国で公開中です。

ギレルモ・デル・トロ監督の作品を観てください

ギレルモ・デル・トロ監督の作風は、特撮だとかモンスター、妖怪といった、日本人、そしてオタクが大好きなものと非常に親和性が高いという点からご紹介させていただきました。

少しでも皆さんの琴線に触れられたら幸いです。そしてこんな作品もおすすめですよ〜っていう映画があればぜひコメントで教えてください。

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