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100日後に妖怪になる僧(鉄鼠・頼豪)

2020年3月20日、「100日後に死ぬワニ」が最終回を迎えました。

「100日後に死ぬワニ」とは、昨年12月12日よりTwitterでスタートし、ワニくんの死までの日数をカウントダウンしながら毎日更新されていたことからSNS等で話題となっていた漫画家・きくちゆうき氏の4コマ漫画です。

結果として、そのタイトルの通りに100日後にワニくんは死に、多くの人たちはその死を悼みましたが、同時に、その死と同時に流れてきた単行本化や映画化、グッズ化等のニュースに「粋じゃない」「電通(ベイシカ)のマーケティングが下手すぎる」「壮大なステマ」という批判の声が寄せられました。

ワニくんの最期については、ネット上で予想合戦が白熱していましたが、その中に、2020年3月20日はマヤ暦で人類滅亡の日とされる予言があったため、人類の滅亡と同時にワニくんが死ぬのではないかという説もありました。残念ながら、ワニくんは死に、人類は新型コロナウイルスでも滅亡しないという結果になってしまいましたが。

100日後に死ぬ僧(ネズミ)

ワニくんは100日後に死ぬ運命を本人は知らないうちに背負っていましたが、怨みから自ら望んで100日後に死に、妖怪となった僧がいます。

鉄鼠」は、平安時代の僧である頼豪が怨霊となり、ネズミの姿で現れた妖怪です。

あるとき頼豪は、子のなかった白河天皇に皇子誕生の祈祷を命じられます。その時、効験があれば褒美を与えるとの約束がなされました。

祈祷の甲斐があり、やがて皇子・敦文親王が生まれます。そこで頼豪は、園城寺(三井寺)に戒壇を建立するという望みを伝えます。

しかし、そこに比叡山延暦寺の横やりが入り、白河天皇は約束を反故にします。当時、園城寺と延暦寺の対立が激しく、天皇はその対立を恐れての事でした。

これを激しく怨んだ頼豪は、100日間の断食行の末に夜叉のような姿で死に、やがて鉄の牙を持つ大鼠=鉄鼠に変化して、無数の鼠とともに延暦寺を襲いました。

また、敦文親王の枕元に妖しい白髪の老僧が現れるようになり、ほどなくして皇子は死んでしまいます。

恐れをなした延暦寺は、社を作り頼豪を神として祀り、頼豪の怨念を鎮めました。

ワニの妖怪

ちなみに、ワニに関連する妖怪としては、「影鰐」という妖怪がいます。

磯撫で」と同種の妖怪と云われ、鮫のような姿形をしていますが、尾ひれが大きく、しかもそこにおろし金のような針が付いていて、これで船人を引っかけ、水中に引きずり込んでしまうとされます。

100日後に社会はどうなっているか

ワニくんが死ぬまでの100日間に、世界では新型コロナウイルスの蔓延や、それによる経済危機、東京オリンピックの中止・延長の検討など社会情勢が大きく動きました。

今から100日後には、世の中はどうなっているのでしょうか。

それは、妖怪だけが知っているのかもしれません。

画像=きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」、日本テレビ「月曜から夜ふかし」、月岡芳年『新形三十六怪撰』より「三井寺頼豪阿闍梨悪念鼠と変ずる図」、竹原春泉画『絵本百物語』より「磯撫で」

参考文献:「決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様」(水木しげる、講談社文庫)、「日本妖怪大事典」(水木しげる、村上健司、角川文庫)

文=渡邉恵士朗

 

■渡邉恵士老(けいちゃん)

北海道旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。公認情報システム監査人(CISA)。

現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。

現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。

Twitter:https://twitter.com/keishiro_w

ブログ:http://blog.livedoor.jp/meda3594/

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