東京百鬼夜行2025を主催の目線で振り返る|失敗も学びもぜんぶ公開
――雨ときどき、涙と汗の壮絶な1日
まずは近況報告
お久しぶりです。最近まで更新が止まっていたのは、みなさんもご存知の通り東京百鬼夜行や江戸川妖怪展で手一杯だったからです。その中でも東京百鬼夜行について、寝ても覚めても連絡・準備・現場。ですが、そのバタバタの中で見えた「良かったこと」「やらかしたこと」「助けてもらったこと」を、主催の私の目線で正直に書いておきます。
今年の流れ
開催は2025年10月25日(土)、場所は高円寺ルック商店街。例年通り高円寺フェスと同日だったので、高円寺という街全体がにぎわう一日になりました。行列は13:30スタート、フィナーレは北口広場の予定。運営はおおよそ10:00〜17:00のロングランです。
新要素ベスト3
- 黄泉十怪(よもつじっかい):集った妖怪の中でとりわけ妖力(クオリティや背景力)の高い10名を選抜。行列の先頭として“芯”ができて、見せ場がぶれませんでした。
- 公式妖怪キャラバン:行列の前後も街角に小さなハイライトを散らす“遊撃隊”。待ち時間がイベントに変わりました。
- テーマ曲「東京百鬼音頭」:音が鳴ると手拍子が自然に動く、とてもキャッチーな音頭、妖怪さんたちにも大好評でした。
今年の“痛かった”失敗
その1:雨予報でデカい会場を急確保
荒天を見越して、広めの代替スペースを直前に押さえました。はい、高額でした。ただ「安全と継続性を買う」と腹をくくった判断です。結果として、エトアール商店街で予定していたマルシェ(妖怪物販)の中止を救済できました。公式カメラブースや物販のみなさんに屋内へ移っていただき、なんとか開催を継続。来場者の“滞在理由”を確保でき、出演者の更衣・機材・電源も守れました。予算的には痛いけれど、費用対効果は十分あったと考えています。
その2:更衣室の案内URLを誤送信
会場変更のドタバタで、訂正メールのURLまで間違えるというダブルミス。当日、ご迷惑をかけてしまい本当にすみません。現場では
- Xとメールで修正送信
- 誘導スタッフを間違えて案内した場所に急行指示
で収束させました。再発防止として今後は二重チェックを徹底します。
数字と手応え(速報)
- インプレッション:100万超(例年比で伸長)。開催前から数万いいね級の投稿が複数走りました。
- 海外露出:イタリアのメディアが来訪。反応の“質”が一段上がった感覚です。
- 沿道の密度:体感で明確に増。次回は警備・誘導の“面”をもう一段厚くします。
※細かい内訳は、写真の当て込みと一緒に追記します。
裏側でやっていたこと
- 雨対応:今年は“雨対応”に追われまいた。痛いけれど、濡らさない・止めないに覚悟で投資しました。
- 見せ場設計:黄泉十怪を核に、キャラバンで街に“点火”。一点豪華+面分散は高円寺と相性◎。
- 受け付けの分散:昨年、受け付けが一箇所に集中したため今年は各更衣室での受け付けにしました。そのため、一度受け付けにしてから更衣室にいくなどの手間がはぶかれ時間のロスがなくなったと思います。
助けてくれた人たちへ(特別感謝・敬称略)
スペシャルサンクス:龍宮の若(広純さん)
高円寺和楽器BARの店主で、私にとっては兄貴分。東京百鬼夜行を私たち妖怪屋と肩を並べて盛り上げてくれる盟友です。事前には高円寺の街への挨拶まわりを率先して回り、当日は現場の空気を整える潤滑油に。さらに、忙しい合間をぬって**「東京百鬼音頭」を夜中までかけて作り上げてくれた張本人**。この音が通ったおかげで、人も列も心も揃いました。心からの感謝をここに。
- 小林さん
更衣室の案内URLを間違えた――その瞬間、最速で訂正メールを一斉配信。受付業務に生じた穴もしっかりとリカバリー。判断の早さと対応力、細かな気遣いに救われました。いつも助かってます。ありがとうございました。 - 響己さん
間違った案内で別地点に流れてしまった参加者の誘導を即座にリカバー、打ち上げの段取りまで面倒を見てくださいました。気まずさが残る場面を、笑顔と段取りで“良い思い出”に変えてくれた恩人です。寒い中凍えそうになりながらも頑張ってくれました。ありがとう。 - 鬼火一家の皆様+ボランティアの皆様
家族で分散配置された更衣室受付を、混雑ピークでも柔らかく・早く・間違えずに回してくださいました。家族ならではの連携の良さに感涙です。ご自身たちも楽しみたいところをスタッフに徹してくださり、本当に感謝してもしきれません。 - Charaさん
河童洞店主。河童の衣装を現場まで届け、アテンドまで。サイズ調整、動線確保、写真の撮られ方まで気が回る。衣装は着せて終わりではない――“舞台にのせる”ところまで伴走していただきました。プロの魂です。いつもありがとうございます。 - 公式団体である悪役連合の皆様・変幻堂の皆様、そして弊社の妖業師たち
妖怪キャラバンで高円寺ルックを明るくかき回してくださった皆さん。行列の外側に小さな見せ場を連続発生させ、待ち時間を“体験時間”に変換。商店主さんとのやりとり、子どもたちへの声かけ――“街の温度”が一段上がりました。行列中も異彩を放つトップレベルの団体様、妖業師たちです。 - ボランティアスタッフの皆様
雨の中、・行列誘導・ゴミ広いまでフル回転。視界が悪いほど、やさしい声が効きます。安全を守るのはルールではなく、人の振る舞いだと改めて実感しました。ご協力ありがとうございました。 - 尼理愛子さん
こちらがお願いする前に出発地点へ駆けつけ、号令と同時に法螺貝を一発。あの一音で場が締まり、足並みが揃いました。音は秩序を生む――の体現でした。 - とらいぽっず(へいさん、顎門さん、波魚さん)
公式カメラとして今年も参入いただきました、観客の笑顔も、黄泉十怪の所作も、欲しい瞬間を全部押さえる職人仕事。記録は記憶を超えます。写真の力で、今年の東京百鬼夜行は何度でも甦ります。 - 高円寺フェスのさんとうさん
本イベントがここまで盛り上がれるのも高円寺フェスのおかげなのです。高円寺フェスで街全体がもりあがるからこそ、東京百鬼夜行をみてくれる観客が多く、東京百鬼夜行のことを知ってくれます。弊社のように高円寺ルック商店街だけでなく、街全体との調整をやられているので心労はたくさんあったかと思います。一緒に戦ってくれてありがとうございました。
反省と次回の約束
- メール運用:二名チェック体制
- 海外対応:英語プレスキットと撮影ルールの一枚紙を常備。
- オープンチャット運用再開:やはり当日のチャット連絡経路はあったほうがいいと思いましたので運用ルールを厳格化したうえで再開したいと思います。
地域とのやりとりで苦労したこと(正直編)
今年も参加人数が多く、出発地点の決定に時間がかかったのがまず一つの現実です。安全・動線・騒音・商店の営業動向――どれも軽くは扱えません。
あわせて、私はルック商店街以外の商店街にも相談に回りましたが、事前説明が浅かったこと、そして噂ベースの誤解が既に広がっていたこともあり、地域側からのイメージが下がってしまっていたと痛感しました。結果、調整がまとまらず断念したエリアもあります。
なかでもいちばん苦しかったのは、「“出発地点”として場所を貸すことで、この地域にどんなメリットがあるの?いいことをしているつもりでも、あなたのひとりよがりではないの?」という言葉に、頭が真っ白になりその場でしっかり応対しきれなかったことです。とても悔しい思いをしました。実際は、東京百鬼夜行を楽しみに来る人も見物人も増え、地域に間接的にでもにぎわいを生み出しています。それは毎年、数字が示してくれているのでわかっていたことなのですが、面と向かってそういわれると自信をもって言うことができなかったのです。(店舗によっては全く収益に貢献できないところもあるので)
イベント風景




















写真提供:とらいぽっず(https://x.com/tripods_camera)
さいごに
雨雲に構え、予算に胃を掴まれ、メールで冷や汗。それでも進められたのは、関わってくださった皆さんのおかげです。出演者、ボランティア、商店会、警備・清掃の皆さん、そして沿道で拍手をくださったあなた。本当にありがとうございました。
来年は、もっと安心で、もっと楽しく。東京百鬼夜行、まだまだ強くなります。ご期待ください。
開催メモ(参考)
- 日時:2025年10月25日(土)10:00–17:00
- 場所:高円寺ルック商店街/フィナーレ予定:高円寺駅北口広場
- 行列:13:30開始




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