【都市伝説】テケテケからの連想ゲーム
こんにちは。北海道在住の恵士老(けいちゃん)です。
以前に、北海道にまつわる妖怪として、アイヌと関わりの深いコロポックルとミントゥチカムイを紹介しました。
今回は、北海道にまつわる都市伝説に登場する妖怪として、「テケテケ」を紹介します。
※暑い日が続くので、少しでも涼しくなるように冬の北海道の画像です。
猛吹雪でホワイトアウトした際に、電車の中から撮った写真です。
テケテケは、下半身が欠損した、上半身だけの妖怪(亡霊)です。両腕を使い移動する際に「テケテケ」という音がするため、この名が付いたそうです。
その謂われとしては、北国で、女性が線路に落下し、電車に轢かれて上半身と下半身に切断されたが、余りの寒さによって血管の先が凍り付いて凍結し止血され、暫くの間は生きており、自分の脚を探していたが、その後苦しみながら死んでいった事件がありました。その女性は、死亡した後も亡霊となって自分の脚を探して這いずり回り、この話を聞いた人の脚を狩りにやってくるということです。
その舞台は、北海道室蘭市において、実際に起きた踏切の人身事故がモデルとも云われています。
上記で「亡霊」と書いたとおり、厳密には妖怪の定義にカテゴライズされるものではないかもしれませんが、「地獄先生ぬ〜べ〜」や、映画「学校の怪談」にも登場しており、2009年にはそのものずばり「テケテケ」という映画が公開されているという、都市伝説としてはメジャーな存在です。
ちなみに、上記の「この話を聞いた者のところにやってきて脚を狩る」というのは、「さっちゃん」の都市伝説にも見られます。
「さっちゃん」は、阪田寛夫作詞の童謡として有名ですが、隠された4番の歌詞があり、それを聞いた者は、さっちゃんに足を斬られて殺されるという都市伝説があります。
これは、朝の子供向け番組「ポンキッキーズ」でアニメ「学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!」のエピソード「さっちゃんのうわさ」としても放送されており、1994年当時の多くの子どもたちにトラウマを植え付けました。
※「花子さん」のアニメはトラウマ製造機と呼ばれており、「怪人トンカラトン」なども、子ども心にトラウマを植え付けられました。
また、上半身だけの妖怪としては、東南アジアに伝わる「ペナンガラン」という妖怪がいます。
インドネシア、マレーシア、ブルネイの国境が跨るボルネオ島では「ポンティアナ」と呼ばれ、内臓をだらりとぶら下げながら首だけで夜空を飛び回り、人の血を吸うといわれています。タイでは「ガスー」と呼ばれることもあります。
吸血鬼とされている点や、その誕生経緯については、テケテケとの相違点はありますが、「上半身だけ」「女性」という、共通のキーワードもあります。
日本の九州に多く言い伝えのある磯女も、上半身が美女、下半身がヘビのように描かれることが多い妖怪です。上半身だけ見えていて、下半身は幽霊のようにぼんやりとしており、はっきりしないと云われることもあります。また、人の生き血を吸うと云われることもあります。
「吸血」という点では、ポンティアナとの共通点がありますね。
磯女に近い妖怪で、濡れ女という妖怪もいます。濡れ女は、頭部だけが人間、その下はヘビという形で描かれることが多いです。また、赤子を抱いた姿で、牛鬼の手下として出現することもあると云われます。
人魚なども、上半身が美女、下半身がウロコ系という意味では、磯女に近いものがありますね。
年代やモチーフを変えて同じような話の結末があったり、似たような姿形や特徴を持っていたり、世界各地に似たような言い伝えがあったりするなど、妖怪はどこかでつながっているのかもしれません。
水木しげる先生の「妖怪千体説(世界各地の妖怪には姿形など共通性があり、世界の妖怪は1,000種類に集約されるという説。)」にもつながりますね。
妖怪は不変のものではなく、日々新たに生み出されていっていますが、実は同じことの繰り返しで、新しいことはないのかもしれません。
折しも先日は終戦記念日でしたが、人間には同じ過ちを繰り返してほしくないものです。
文・写真=渡邉恵士老
参考文献:「アジアもののけ島めぐり」(林巧、光文社文庫)、「決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様」(水木しげる、講談社文庫)、「日本妖怪大事典」(水木しげる、村上健司、角川文庫)
■渡辺恵士朗(けいちゃん)
北海道旭川市出身。 早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。
現在は北海道札幌市と東京の二拠点生活をしながら、経営・ITコンサルティングを生業としているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の研究を続けている。
現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。
Twitter:https://twitter.com/keishiro_w
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