だたらも籠れば婆となる―雪姥
季節の変わり目で風邪が流行っているような気がします、神代です。皆さんは如何お過ごしでしょうか。
低気圧続きだった秋がようやく終わりましたね。これから寒くなり、雪も降る事でしょう。豪雪地帯北陸に住む身としては被害が少ないことを祈るばかりです。
さて、そんなわけで今回は冬に現れる妖怪『雪姥』を紹介したいと思います。
まず見てください、この特徴的なビジュアルを。頭の両側から手が生えて足は一本。歯はお歯黒でしょうか、真っ黒になっていますね……
いやこれSIRENに出たやつじゃん!
雪姥の一番の特色はこのアバンギャルドな見た目にあると思います。
雪に関係する女性の妖怪は、他にも雪童や雪女などがいますが、彼女たちはどれも体温が低い、肌が真っ白などという特徴はあれど、ほとんどは大きく人の姿を損ねることはありませんでした。
しかしこの雪姥、怪異はまず形からと言わんばかりに、『The.妖怪』というような見た目をしております。子供を襲ってさらうという伝承がここまでしっくりくる妖怪は中々いないでしょう。
子供をさらうという設定は、雪の日に子供を外に出さない戒めとして語り継がれてきたという属性があるからと推測できます。
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因みに、近隣の熊本県には同じ一本足の妖怪『一本だたら』が冬に現れるという伝説があります。なんでも、雪の日に現れて雪上に一本足の足跡を残すのですが、その姿を見たものはいないそうです。
恐らくですが、この妖怪と雪姥は同一人(妖)物だと思われます。冬に一本足だと思われる足跡があって、それが雪姥として伝えられた地域と、一本ダタラとして伝えられた地域があるということではないでしょうか。
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この妖怪のように一本足、或いは一つ目といった人間より体の一部が少ない妖怪はとても多いです。逆に、パーツの一つが『長い』とかならともかく、数が多い妖怪はあまりいないと思います。
障害を持った方を妖怪として扱ったために、そういった者が多いという説はありますが、もっと他に理由がある気がしてなりません。
例えば、人よりパーツが少ないから妖怪として扱われたとか。人よりパーツが多ければ、妖怪ではなく神様になるとしたら?
神と妖怪は元々同一存在であり、人間より優れていれば神様、劣っていれば妖怪とされる。もちろん例外は多々ありますが、大きく分けたら人間と比べた際の優劣が分水嶺になる。
というのも、一つの考え方なのかなと感じました。その場合は優劣の定義をどうやってつけるか……妖怪は哲学だ。
(画像:ばけもの絵巻)
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