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歳神様のお話

 日に日に寒さの厳しくなる年の瀬で、水仕事となりますと手の内で冷たさが痛みに変じていくようでございます。
 どうも、尻尾の先まで埃だらけにして掃除にいそしんでおります、狸森泥舟でございます。

 みなさま、年越し前の大掃除はもうお済みでしょうか?
 何故に年の瀬に大掃除する方が多いのか、おそらく元になっているのは「すす払い」と言いまして、年に一度、汚れを掃き清めるという行事でございます。
 いよいよ、歳神様をお迎えする大晦日でございますから、清め美しく保ちまして、歳神様をお待ちしようということでございますね。
 さて、この国では歳神様がどちらのおうちにも来訪されるとされておりますが、この歳神様というのは、いったいどういう神様なのか皆様はご存じでございましょうか?
 歳神様は穀物神である、来訪神である、豊穣神である、そして、祖霊である、またそれら全てである、と言われております。
 日本は農耕によって暮らしを成り立たせてきた国でございます。
 そのため、穀物というのは非情に人々には重要で、その豊作は望むところでございました。
 そのため、歳神様の歳―とし―登志、登志とは穀物のことでございますれば、穀物を司る神とされ祀られたのでございます。
 これについては、江戸時代の国学者である本居宣長が、歳とは登志のことであり、登志とは穀物のことである、と言及しております。
来訪神であるというのは、先でも述べたように正月、それとお盆、年に二度の来訪があるからでございます。
 あまり知られてはおりませんが、実はお盆にも歳神様はいらしておられるのです。
 そして、豊穣神であるというのは、大歳神という日本神話にも登場する神道の神と歳神様は同一視されているからでございます。
 大歳神(オオトシガミ)様はスサノオノミコト様とクシナダヒメ様の子であると言われておりまして、ウカノミタマ様の兄弟神にあたり、豊穣の神とされているのでございます。
 そして、最後に祖霊というのは、先祖の霊のことでございます。
 この祖霊については、神道ではなく、仏教的な考えに根ざしたものと言われておりまして、この国の、神道と仏教がある種融合して文化に混在するという特色の顕れではないかと考えられます。

 さて、いかがでしたでしょうか?
 この度は簡単にではございますが、歳神様のお話をさせていただきました。
 歳神様の事をあまり知らずにお迎えしていた方も多かったのではないでしょうか?
 ぜひ、気持ちも新たにどうぞ恭しく正月をお迎えくださいませ。

 そうそう、お正月に両方の先端が細くなっている「祝い箸」を使う機会がございますね。これは、「両口箸」とも申しまして、私たちがこの箸でお節料理などを頂く時に、もう一方の先端を神様がお使いになり、私たちが神様と食事を共にするためのものでございます。
「神人共食」ということでございます。
なんとも素敵でございますね。

 そろそろ除夜の鐘の鳴り始めていらっしゃるところもあるのでは?
 皆様、どうぞよいお歳をお迎えください。
 来年が皆様にとって、実りある豊穣の歳となりますように。  

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