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灸をすえるムジナのお話

降雪の候、みなさまいかがお過ごしでございましょうか。
大寒からもうすぐ立春へ、しかし、きっとまだまだ寒い日が続いてまいりますね。
こう寒いと、狸はまだまだこの厚い毛皮が手放せません。
ああ、毛皮を持たぬみなさまは、さぞ手足も冷えますでしょう。
そんなふうに冷えてしまった時は、経穴に灸をすえてはいかがでございましょう。
経穴というとわかりづらいやも知れませぬが、ツボと言えば、みなさまぴんとくることでございましょう。
灸というのは冷えた身体に熱を入れてくれる作用もあるもので、それをまた、冷えたその身体を整えるのにふさわしいツボにすえることで、身体を温め、しっかりと冷えを追い遣ってくれるものでございます。
そうでございますね……冷えに効くツボはいくつか在りますが……照海、太渓、三陰交…………。
…………おっと、話があらぬ方へ。
今日もみなさまに何か、狸やら妖怪変化やらの話をさせていただこうと思っておりましたのに……。   …………そうだ。
では、灸を据えてくれるムジナのお話でもいたしましょうか。
秋山むじなというのが、長野県は下水内群あたりにおりましたそうで、浅川欽一採録『秋山物語』というものに、そんなお話が収録されておるそうでございます。
そのムジナは大層賢くて(原文では「はしこい」と形容されております。私はこの方言を賢いと意訳しておりますが、賢いもしくは機敏である。または狡猾であるなど、いくつか地方によって意味があるようです)、どこでならったかは知らないが、
「おらぁ、秋山の灸点だが、灸をすえるものはいねぇか」
と、方々(飛騨は高山から新潟方面まで) 歩いてまわったと言います。
ムジナの灸師(原文には灸点とあります)がすえるが、これがなかなか上手で効くのだと。
しかし、ある日、その話をする農民の本家が、一匹のムジナを捕まえたのだと。
その本家には、大きく恐ろしい犬がおり、そのムジナを襲ったのだと言うのでございます。そして、それを本家の爺さんが捕まえてしまったのだと。
すると、方々に出没していたムジナの灸点がぱたりとなくなったそうでございます。
人々は口々に、
「秋山の灸点なこのごろちっとも出てこねえ」
と、話したそうでございます。

……犬というのは我らの天敵であるような話が山ほどありますが、今回もまた犬に…………。
……おっと、失礼いたしました。

私もぜひ、秋山むじな殿に灸をすえていただいてみたかったですが、しかし、きっともう叶わぬ夢でございますね。
いったい、どんなムジナ様でいらっしゃったのか。

語った方は、そのムジナの特徴をこうあげてらっしゃったようでございます。
「そのムジナは、腹の下に全然毛がなかったって、まあるで毛なしだったって」

……さて、夜も更けて参りました。
本日のお話はこれまでといたしましょう。
どうぞ、毛皮のないみなさまは、お身体の冷えませんよう温かくなさっておやすみなされませ。
では、またお会いいたしましょう。

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