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お不動さんに止められた話。

お遍路話が続きます。

妖怪とはちょっと違うかもしれないけれど、

日本は元々、八百万の國であるし、更にお四国は、生者も死者も、たぶんアヤカシ達もぐるぐる巡っているのではないかと思われる場所なので。

 

 

 

 

 

四国霊場四十五番 海岸山岩屋寺。

八十八カ所の折り返しのお寺ですね

四十四番大宝寺と共に、久万高原という場所にあります。

 

 

 

四国は温暖かと思いきや、ギュっと凝縮された島なので、山間部とか盆地とかは意外に雪が多い

まだ、そんな実感も、経験値もないまま巡っていた時のお話です。

 

 

 

 

久万高原は、夏に行っても比較的涼しいと感じる位の標高。

この年は、高知から積雪に遭い(寺嫁さんが、高知でこの降りは珍しいと仰ったくらい。通行規制やら、車中泊したら一晩で銀世界やらの珍道中ではありました)

雪景色を眺めながらのお参り大宝寺の駐車場に向かう道で軽くスリップしてヒヤっとする

 

 

 

 

岩屋寺は、駐車場から山門、山門から本堂までがなかなかの体力勝負であります。

道は、舗装されてはいますが、傾斜が割とある

更に、冬場は路面や、段差に溜まった湧水が凍る…(「ちょっと待って」と、先達さんに手で制され、先達さんが錫杖で氷を砕いて下さって、カッコイイと思った事もございました)

この日も、足許に気をつけながらのお参りとなりました。

 

 

お遍路さん達は、お参りの手順が決まっており、手水で身を清めた後に、線香やお灯明、そして読経など(お遍路ブログじゃないから若干簡略)をするのですが、

本堂と、大師堂と2回、繰り返すのが作法です(ご本尊と、弘法大師さんにお参りするのです)

 

 

 

 

お寺によって、他にもお参り出来るお堂やらは様々あり、

せりわり禅定と呼ばれる鎖を伝って登る奥の院や、この近辺の地層の特徴のある場所まで、梯子で登ってお参り出来たりもします。

 

 

その中で、穴禅定と呼ばれる洞窟の様な場所が。

 

 

中は本当に暗いし、足元滑ったりもするし、

(お遍路する様になって更に、暗さへの恐怖は研ぎ澄まされた気がしますこれも、アヤカシ活動への伏線やったんかな)

ドキドキしながらお参りするのですが、

 

 

最奥にいらっしゃる不動明王様と、お大師様が、いつも、

「よう来たなぁ」

と、親しみをもってお迎え下さってる気がしていて。

 

 

お不動様と言えば、

大日如来様が、憤怒の姿で民を戒め、導く為のお姿なのだそうで

足場の悪さやら暗さをものともせず、かなりご高齢なおじいちゃんおばあちゃん方も、丁寧にお参りされていて。

不動信仰と言うのは、本当に民間に根付いているのだなぁと。

 

そう言えば、亡き我がオババ様達も、

今日は観音さんの日、今日はお不動さんと、足繁くお参りに出かけてたっけ

 

 

 

 

いつもの如く、

ゆっくりとお参りさせて頂いて、

 

 

さて、次へ

いつもなら、砥部市内に向かって山を下るのですが、

いつも、標識を見て気になっていた事が。

 

 

「石鎚スカイラインを経由して行ってみたい」

 

 

愛媛での定宿にしている、石鎚のハイウェイオアシス。

スカイライン経由したら早いんじゃない??…との出来心が。

 

 

 

いつも、左へ曲がる道を、右へ

 

むむむ。

やはり景色が雪深いぞ。

石鎚スカイライン、どんな景色なんだろうなぁ。通行止めとも書いてなかった。

 

 

カーナビに導かれるまま、長閑な田園風景の中へ。

お父さんと、お子さん達が、雪でそり遊びをしていた

地元でないナンバープレートが珍しかったのか、お父さんがじーっとこちらを見ておられましたが。

道に迷ってるんちゃうよ〜、カーナビ通りですよ〜と思いつつ。

 

 

 

どんどん走ってくと、道が更に雪深くなり(確か一応、冬用タイヤは装着してた筈)

一度、軽くスリップ。

道の様子からも、これはチェーン装着した方が良いかとなり、

2人で悪戦苦闘しつつチェーンを

 

 

めっちゃ時間かかりながら、ようやく1つ、チェーン装着完了か? くらいのタイミングで、

旦那が、

「ごめんやっぱ戻ろ」

と。

 

 

まぁ、このペースではチェーン装着もどんだけかかるか読めないくらいだったし(私に至ってはチェーン触るの初めてやったし免許もってない)

行きたい場所ではあったけど、

なぜか私も素直に、

「うん、戻ろか

と。

 

 

 

 

その間30分位だったか

道を戻っていくと、

遊んでたお父さんと子供達の姿は見えず。

(寒いし、家に戻りはったんかなー…)

 

 

 

大宝寺・岩屋寺と書かれた標識が見える場所まで戻って来て、

ぞくり、とした

 

 

直前にお参りしてた穴禅定。

あのお父さん、お不動様じゃなかろうか

子供達は、眷属のこんがらさんと、せいたかさん。

 

 

 

ものすごく腑に落ちたと共に、畏怖の念が。

「うわ〜〜〜〜〜、ごめんなさいい〜〜」

(2人して車中で半泣き&喚いてた、マジで)

 

 

四国の人なら、大概、どこ向かってるんやとか、道間違ってへんかとか、声かけて下さる事が多いので、

じーっと凝視で見送られたので、

ソコが私も旦那も、違和感を心の片隅に感じてて。

「おまえらどこ行くねん」

と呆れられてたのかしらと。

 

 

それでも行こうとする私たちを、スリップという形で止めて下さったのではないかしら。

もう、こんな生臭腐女子お遍路まで、導いて下さってありがとうございます〜〜〜〜〜…(平伏)

 

 

 

お不動様、こういうトコですよ!!

こういうトコが世間の熱烈な不動信仰を生むのよ!!

それ以降、お不動様にはアタマが上がりません

 

 

 

【櫻屋蜃気楼(sakuyamirage)】幼き頃から妖怪大好き。
日本美術史を学んでいた大学時代に、芳年や暁斎、稲生物怪録に出会う。 日常に、ひっそりとアヤカシを携えたくて、ハンドメイドで妖怪を創っています

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櫻屋蜃気楼

幼き頃から、怖がりなくせに妖怪大好き。 日本美術史を学んでいた大学時代に、芳年や暁斎、稲生物怪録に出会う。 日常に、ひっそりとアヤカシを携えたくて、ハンドメイドで妖怪を創っています。

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