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北海道の雪女伝説

大雪の影響により、新潟県内の関越自動車道で車の立ち往生が12月16日頃に発生し、約52時間を経て18日午後10時に解消されました。立ち往生は上下線で最大時約2,100台に及んだそうです。

今年は例年に比べて雪が降り始めるのが遅かったですが、その分まとめて一気に大雪になるようなので、年末年始にかけては雪と寒さに注意が必要です。

今回は、雪に関する妖怪の中でも最も有名といってよい、雪女について紹介いたします。

日本各地に残る雪女伝説

雪女の伝説は日本各地にあり、山形県では雪女郎、新潟県では雪女郎や雪姉サ、宮城県では雪バンバ、長野県諏訪ではシッケンケン、愛媛県宇和では雪婆、宮崎県では雪バジョなどと呼ばれています。

多くの場合は雪の降る晩や吹雪のときに現れますが、岩手県遠野市では小正月の夜や冬の満月の夜に現れ、青森県西津軽郡では元旦に現れて年の初めの卯の日に帰るなど、現れる期日が決まっている場合もあります。

岩手県や宮城県では雪女に出会うと精を抜かれてしまうと云われ、福島県磐城では行き会った旅人に雪女が声をかけ、旅人が返事をせずに後姿を見せると、谷底へ突き落してしまうと云われます。

「滝川の雪女」伝説

北海道にも雪女の伝説があります。その中でも有名なものが、「滝川の雪女」です。

滝川市の空知川のほとりに伝えられている話です。

北海道炭鉱鉄道が岩見沢から空知太まで敷かれた明治25年頃、雪が舞う夕暮れ時になると、角巻を着た色白の女が、誰を待つのか、いつも空知川のほとりに佇んでいました。

付近の開拓農家の若者や鉄道工事の作業員たちは「あの女は何者だ、キツネかタヌキが化けているんではないのか」としきりに噂し合いましたが、正体は分かりませんでした。雪がやむころ、女はどこへともなく姿を消すのでした。

空知川付近で鉄道工事作業員として働く吾助は、故郷の山形に恋人を置いて出稼ぎに来ていました。吾助は雪の降るある夕方、ばったり女に出会いました。女は故郷に残してきた恋人によく似て色白の優しい感じがしました。吾助は女に声をかけます。

「寒いのに、どうして立っていたんだい」

「あんたを待ってたのよ」

女は川辺の小さな家に吾助を招き入れます。朝起きると女の姿は無く、布団が湿っています。

女は翌日も同じ場所に立っていて、吾助が来ると黙って川辺の家へ誘います。こんな事が毎夕続き、吾助はみるみる痩せ衰えていきます。

心配した同僚が後を尾けると、吾助は川辺の洞でつららを抱いて眠っています。ほどなく吾助は冷たい骸となって発見されました。

それっきり女は現れませんでした。

女の正体は、吾助が故郷に置いてきた恋人で、吾助が出稼ぎに出てから急に病にかかって亡くなり、霊魂となって雪の北国をいとしい男を求めてさまよい現れた姿と云われます。

雪おんなと呼ぶにはあまりに哀しい開拓期の愛情物語として伝えられています。

雪女行列を行う 中ノ沢温泉年越しイベント

今回は北海道の雪女をメインに紹介しましたが、福島県には実際に雪女が現れるイベントがあります。

それが、妖怪屋さんが主催されている、中ノ沢温泉年越しイベントです。

https://www.kokuchpro.com/event/af4b880aac11da0a27d887fb57568100/

プロモーション動画は以下から観ることができます。

https://youkaiya.jp/youkai-ch/?movie=%E4%B8%AD%E3%83%8E%E6%B2%A2%E6%B8%A9%E6%B3%89%E9%9B%AA%E5%A5%B3%E4%BC%9D%E8%AA%AC

https://youkaiya.jp/youkai-ch/?p=1868

今年はコロナの影響もあり、年末年始の移動は控える方が多いとは思いますが、都会から離れ密にならない温泉地で、豊雪の願い、疫病退散の願いが込められた、雪女行列と雪乞いの儀を拝観してはいかがでしょうか。

 

画像:『画図百鬼夜行』より「雪女」(鳥山石燕)、「滝川市立図書館妖怪タペストリー」(広瀬克也、北海道新聞)

参考文献:「北海道ふしぎふしぎ物語」(合田一道、幻洋社)、「北海道こわいこわい物語」(合田一道、幻洋社)、「決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様」(水木しげる、講談社文庫)、「日本妖怪大事典」(水木しげる、村上健司、角川文庫)

文=渡辺恵士朗

 

■渡邉恵士老(けいちゃん)

北海道札幌市在住。旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。ITコーディネータ、公認情報システム監査人(CISA)、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。

現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。

現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。

Twitter:https://twitter.com/keishiro_w

ブログ:http://blog.livedoor.jp/meda3594/

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