大阪万博ロゴと妖怪
2025年に開催される大阪万博のロゴマークが決定しました。
デザインしたシマダタモツ氏は、70年大阪万博のシンボルで岡本太郎氏がデザインした「太陽の塔」を会場で見て強く印象に残り、当時のDNAを表現するために、「いのちの輝き」をテーマに「セル(細胞)」を意識した赤い球体をつなげたデザインとし、ロゴマークは形が異なる細胞をつなげることで、1つの生命体を表現。目のように見える5つの点は、5枚の桜の花びらをデザインした70年万博のシンボルマークから着想を得たそうです。
この「いのちの輝き」のロゴマークに対してネットでは、「妖怪」、「肉塊」、「コロシテくん」、「錬成失敗したキャラメルコーン」、「シン・ゴジラの肉片」、「未来のムック」、「ガラナの実」、「目玉おやじの集合体」、「バックベアードの集合体」などといった賛否の声で盛り上がっています。
上記のネットでの評判のうち、「妖怪」については、具体的には「真珠庵蔵『百鬼夜行絵巻』伝土佐光信」に出てくる赤くて一つ目の妖怪が、色や目の感じが近いと云われています。
また、目の数が足りないですが、百目にも似ているように見えます。
アニメ版の「悪魔くん」に出てきた百目が近いかもしれません。
ネットでの評判に出てきた、「バックベアードの集合体」というのも面白いです。
正直、第一印象としては気持ち悪い、ホラーなロゴですが、万博のロゴマークという本来は無機質なものが、キャラクターとしてネットを通してまさに「いのちの輝き」を放っている現象は、面白いと思います。
なんでもかんでも神様や妖怪にしてしまう日本人の伝統的な性質といってもよいかもしれません。
ちなみに、今回の大阪万博ロゴマークの選考委員には、漫画家の荒木飛呂彦先生や、日本画家の松井冬子先生が入っていたそうです。
荒木飛呂彦先生は「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで有名ですし、松井冬子先生は幽霊画や九相図で有名な方なので、この選考結果は納得かもしれません。
それにしても今年はアマビエといい、「いのちの輝き」といい、妖怪の当たり年かもしれませんね。
文=渡邉恵士老
■渡邉恵士老(けいちゃん)
北海道旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。公認情報システム監査人(CISA)、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。
現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。
現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。
Twitter:https://twitter.com/keishiro_w
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