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『以津真天』と急かされて

どうも、神代です。先月の末に本サイト「妖怪ちゃんねる」の管理人である妖怪屋さんと初めてお会いしました。記事に関する評判なんかをこっそり聞いたのですが、記事のアクセス数が手堅く伸びてきているという事で安心してます。いつもご愛読いただきありがとうございます、今後もちまちまと記事を更新していくので、温かく見守ってやって下さい。

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皆さんは言葉の使い方を間違えて後悔したことはないでしょうか、私は正直数え切れない程あります。誰かと話した後、「さっきの発言はあの人の現状を考えると不適切だったな」とか「いやあれ普通に失礼だったな」とか……一人で脳内反省会をするのですが、これって結構あるあるなのでしょうか。

そもそも日本語って難しいですよね。例えば、「明日元気だといいね」という文では、発言者は体調が悪そうな人と話している事が想定されます。ですが、「明日元気だといいね」だと、逆に健康そうな人と話している事が想定されます。そう、一文字違うだけで、文意が真逆になってしまうのです。

今日紹介する妖怪『以津真天』も、そんな日本語の難しさを学べる妖怪です。

以津真天は、人の顔、蛇の体に翼が生えた巨大な鳥の妖怪です。この妖怪の原点という説がある『太平記』の逸話では、1334年頃、疫病のせいで多くの死人が出た頃に京都上空に現れ「いつまでも、いつまでも」と鳴いて民衆の不安をあおったと書かれています。

さて、どうしてこの妖怪が日本語の難しさを教えてくれるのか。実はこの妖怪、昭和以降の文献では、戦場などで死体をいつまでも放置しておくと現れ、「いつまで、いつまで」と鳴く妖怪だとされているのです。 死者の怨霊が以津真天に形を変えて、自らの死体をきちんと埋葬してくれと言っているという解釈です。

原典と後世で特徴が違うのは、鳴き声が「いつまで」か「いつまでも」かというくらい。死者が多く出るところに現れるという特性も、妖怪自身の姿も大体は変わっていません。

それにも関わらず、原典では『この災禍はいつまでも続くぞ』という意味で鳴く悪の手先のようなイメージの以津真天が、後者は『死体をいつまでも放置せず埋葬してくれ』と言う意味で鳴く悲しみの代弁者のような妖怪になるのです。

たった一文字でイメージががらりと変わってしまう日本語。以津真天の歴史には母国の言葉をきちんと使おうという教訓が含まれているのです、多分。

(画像: 今昔画図続百鬼 )

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