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空舞う人気者 一反木綿

どうも、神代です。先日京都の稲荷山を登りました。 その際、頂上付近の横道に「近辺で知らない人に声をかけられる事案が多発しています。一人歩きは避けてください。」という看板がありまして。

何の気なしに見ていたのですが、これって山の頂上らしからぬ看板ですよね。大して人通りが多い所でもないのに、こんな警句を準備する必要があるのでしょうか。その『知らない人』なるものは本当に人間なのでしょうか、なんて考えてしまいます。

閑話休題、日本の妖怪は膨大な数がいますが『一番人気』なのは一体どの妖怪なのでしょうか。国民的な人気を誇るゲゲゲの鬼太郎?あるいは知名度が高いと思われる天狗や化け猫?実はこの内のどれでもないんです。

と言うわけで今回は、第一回境港妖怪人気投票で第一位を獲得した妖怪『一反木綿』の紹介をしようと思います。下馬評を覆し、鬼太郎(第四位)を差し置いて第一位でした。同作中でのユーモアあふれるおせっかいな先輩妖怪と言うキャラが人気を博した理由でしょうか。

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一反木綿は鹿児島県に伝わる伝承で、長さ1反(大体10メートル程度)の布のような姿をした妖怪です。ひらひらと空を飛び回って、人と出会うと襲い掛かり、その首に巻き付いて窒息させてしまうという狂暴な妖怪です。

この妖怪は一見すると、人間から粗末に扱われた事により人への恨みを持った布が、妖怪に変化して人を襲うようになったという見方ができます。しかし、一方で一反木綿は『布状の生物』の怪異だとする見方もあります。

まず第一に、百鬼夜行絵巻という画図に描かれた一反木綿の原典とされる布状の妖怪には、まるで生物のような鋭い爪を伴った手足があります。

また、伝承の中には『刀で斬られた際に血が出た』という記述があります。付喪神のような属性の妖怪であれば血肉を得る事は考えづらいでしょう。これも、一反木綿が生物をルーツに取った妖怪である証拠ではないかと考えられます。

狐狸やイタチが化けたものだとするのであれば、血が出る事にも納得が行くのですが、一反木綿の正体が実は動物でした!というような伝承は未だ見つかっていません。もし、一反木綿が『布の妖怪』ではなく、『ごく少数しか個体数がいない布状の生物』であれば、妖怪と言うよりはUMA(未確認生物)という方が適切なのかもしれませんね。

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一反木綿は妖怪の中では珍しく、近年にも複数の目撃例がある妖怪です。形状や大きさ、飛び方などが変わったりはしますが、いずれも白い布のような見た目であることは変わりません。 これもまた、一反木綿が生物として実在するという根拠になるのではないでしょうか。

しかし、UMAかどうかはあくまで人間が観測したか否かの区分であり、彼らはただ生きているだけ。そんなコットン(事)はどうでもいい事なのでしょうね、木綿だけに。

(画像:百鬼夜行絵巻)

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