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ナスカの地上絵とダイダラボッチの身長の検証

2020年10月に南米ペルーの文化省は、世界遺産「ナスカの地上絵」の近くの丘で、新たにネコ科の動物の地上絵が発見されたと発表しました。

幅約30~40センチの線で描かれており、絵の全長は約37メートル。ナスカ文化より前の紀元前200年ごろのパラカス文化後期のものとみられています。

ネコはこの時代によく使われたモチーフだといわれますが、そのヘタウマというか、ゆるかわな様子のネコに癒された人は多いです。

ナスカの地上絵の謎

ナスカの地上絵は、あまりにも巨大な絵が多く、空からでないとほとんどの地上絵の全体像の把握が難しいと云われます。なぜ、このような巨大な地上絵を描いたのかということが大きな謎の一つとなっています。

ナスカの地上絵が描かれた目的としては、雨乞い儀式利用説、暦法関連説(日没方向を示す)、社会事業説、巡礼に関する役割説、水のありかを示していた説、権力者の埋葬説、UFOの発着場説などが云われていますが、いずれも確証はないものです。

一方で、描画の方法については解明が進んでおり、山形大学の坂井正人教授による実証実験では、山の斜面に30メートル以上の大きさがあるキリスト教の聖母像を制作することができています。

ナスカの地上絵、妖怪が描いた説

そのように、謎の解明が進みつつも依然としてミステリーに包まれたナスカの地上絵ですが、ここでは、妖怪によるナスカの地上絵描画説を提唱しておきましょう。

巨大な妖怪も数多くいますが、その中でも伝承の多いダイダラボッチ(大太郎坊、大太法師)を元に検証してみたいと思います。

ダイダラボッチの身長の検証

ダイダラボッチの伝承は数多くあり、どの伝承をベースにするかで、ダイダラボッチの大きさは全く変わってきます。ここでは、3パターンほどを考えてみます。

①富士山を造ったダイダラボッチ

ダイダラボッチの伝説の中でも有名なものが、近江の地面を掘った土を盛り上げて富士山を造ったというものです。掘った跡が琵琶湖になり、土を運ぶ途中で落とした土くれが、富士山と琵琶湖の間にある山々になったと云われます。

富士山の標高は3,776mです。

分かりやすく例えると、身長170cmの成人男性が、砂場でけっこう大きめの砂山を造るとして、高さ約38cmの砂山を造ることはできます。

ここから推測すると、パターン①のダイダラボッチの慎重は約17,000m(17km)前後ということが考えられます。

②代田に足跡を付けたダイダラボッチ

東京都世田谷区の代田という土地は、下北沢や三軒茶屋に近く人気の住宅街ですが、窪地になっており、ダイダラボッチが付けた足跡であるという由来があります。

代田の面積は1.36km2です。窪地部分の正確な面積が不明なため、仮に1.1km四方と仮定します。

成人男性の足の大きさが27cm、身長170cmと仮定して、足跡の長さが1.1kmのダイダラボッチの身長を計算すると、約6.9kmとなります。これがパターン②です。

③だいらぼう山頂に窪みを付けたダイダラボッチ

静岡市のだいらぼう山頂には全長150mほどの窪みがあり、ダイダラボッチが左足を置いた跡と伝えられ、琵琶湖から富士山へ土を運ぶ途中に遺したものであると云われています。こちらのダイダラボッチは、パターン①よりも小さめのようです。

パターン②と同様に、成人男性の足の大きさが27cm、身長170cmと仮定して、足跡の長さが150mのダイダラボッチの身長を計算すると、約944mとなります。約1kmです。

ちなみに、富士山の標高が3,776mなので、自分の身長の約4倍の高さの山を造ったことになります。けっこうな重労働ですが、長い時間をかけて国造りを行ったと考えると、不可能な大きさではないかもしれません。

パターン①~③のまとめです。

ナスカの地上絵との比較

ここで、ナスカの地上絵の大きさを見てみましょう。

有名なハチドリの絵は96m、大きいものではコンドルが135m、イグアナが180m、他にはサルが55m、クモが46m、最大のもので鳥類の絵で285mとされています。

分かりやすく、ハチドリの絵基準で約100mの絵と考えます。

ダイダラボッチの身長について、パターン①の17kmの身長で100mの絵を描くのは、身長170cmの人が1cmの絵を描くようなものです。

ナスカの地上絵はそこまで複雑なデザインではないので、不可能ではないとは思いますが、少し細かい作業になりますね。

富士山を造るような大事業をやっていたダイダラボッチが、あまり細かい作業をするイメージはないでしょう。

パターン②で考えると、身長6.9kmに対して100mの絵というのは、身長170cmの人が約2.5cmの絵を描くような縮尺になります。

これも不可能ではないでしょうが、まだ細かい気がします。

パターン③では、身長約1kmに対して100mは、身長170cmに対して約17cmの絵になります。

比較的小さいサルやクモの絵でも縮尺としては5cm前後になるので、手先が不器用なダイダラボッチでも描けそうな気がします。

ちなみに、シン・ゴジラの大きさが118.5mなので、パターン③のダイダラボッチでもゴジラの8倍の大きさになります。

ダイダラボッチの大きさがお分かりいただけたでしょうか。

今回は、ナスカの地上絵はダイダラボッチが描いたという前提を元に、ダイダラボッチの大きさを各地の伝承を元に検証してみました。

そもそもの前提が間違っているというご批判はあるでしょうが、楽しく妖怪を空想する一助となれば幸いです。

画像:勝川春英『異魔話武可誌』「肥前の国 市坊主」、いらすとや、東宝、庵野秀明総監督「シン・ゴジラ」

参考文献:「決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様」(水木しげる、講談社文庫)、「日本妖怪大事典」(水木しげる、村上健司、角川文庫)

文=渡邉恵士老

■渡辺恵士老(けいちゃん)

北海道旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。ITコーディネータ、公認情報システム監査人(CISA)、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。

現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。

現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。

Twitter:https://twitter.com/keishiro_w

ブログ:http://blog.livedoor.jp/meda3594/

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