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エヴァンゲリオンと妖怪ハンター

3月8日に「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が公開されました。

当初の予定から完成が遅れに遅れ、更に新型コロナの影響もあり、何度も公開が延期されてきた経緯があったため、待ちに待った公開となりました。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」から既に14年が経っていますし、TVシリーズからは25年の歳月を経ています。

私も早速観てきましたが、以下の記事に直接的なネタバレは含まないものの、読む方によってはネタバレと思われる可能性がある内容もあるかと思いますので、ご注意ください。

エヴァンゲリオンと諸星大二郎

元のテレビシリーズである「新世紀エヴァンゲリオン」も含め、本作品にはキリスト教や聖書をモチーフとしたキーワードが多く出てきます。

また、影響を受けた作品として多く語られているのが、諸星大二郎氏の「暗黒神話」や、「ぼくとフリオと校庭で」に収録された「影の街」という作品です。

岡田斗司夫氏は「BSマンガ夜話」の中で、「エヴァンゲリオン」と諸星大二郎氏の「生物都市」や、「妖怪ハンター」の「生命の木」、「黒い探究者」、「死人帰り」などとの類似点を語っています。

ちなみに、それら諸星作品がエヴァンゲリオンの「元ネタ」として語られることがありますが、何か特定の元ネタがあったわけではなく、インスピレーションであったり何かしらの影響を与えたりしたと考える方が妥当でしょう。

生命の樹

「妖怪ハンター」の「生命の木」の元ネタである、「生命の樹」は、旧約聖書の創世記にエデンの園の中央に植えられた木です。生命の樹の実を食べると、神に等しき永遠の命を得るとされます。「セフィロトの樹」とも呼ばれ、ユダヤ教の神秘思想のカバラで用いられます。

創世記で神は、知恵の樹の実を食べた人間が、生命の樹の実までも食べて永遠の生命を得、唯一絶対の神である自身の地位が脅かされる事を恐れたためにアダムとエヴァをエデンの園から追放したとされています。

 

「新世紀エヴァンゲリオン」のOPや、旧劇場版(EOE)の本編などにも「生命の樹」のイメージが出てきます。

「生命の樹」自体はエヴァンゲリオンの主要なテーマではないものの、人類が知恵の実を食べた原罪から解放されるのか、生命の実をも食べて神化するのかといった点は、使徒との戦いや「人類補完計画」といった最重要キーワードを含めて、テレビシリーズ以降のストーリーに関係してくる点です。

妖怪ハンター 生命の木

「妖怪ハンター」の「生命の木」は、東北のかくれキリシタンに伝わる「世界開始の科の御伝え」という聖書異伝にある、もう一つの人類の祖先を巡る話です。

知恵の実を食べた「あだん」(アダム)とは別に、生命の木の実を食べた「じゅすへる」(ルシファー)の子孫たちを、その救世主となる善次が「ぱらいそ」へ導くといったドラマティックな内容です。

青森のキリストの墓

青森県新郷村(旧・戸来村)には、キリストの墓があります。

「竹内文書」によると、ゴルゴタの丘で磔刑にされたのは弟のイスキリであり、キリスト本人は日本に渡り、戸来村で106歳の天寿を全うしたとされています。戸来村の村名が「ヘブライ」から由来している、地域の盆踊りの歌「ナニャドヤラ」がヘブライ語の歌である、という説もあります。

「竹内文書」自体は、今では偽書として断定されていますが、実際に青森にキリストの墓ができて、それに関わる祭祀が行われているという事実があるのは面白い事例だと思います。

エヴァンゲリオンと妖怪

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の話に戻ると、聖書やキリスト教などのキーワードが今までのシリーズから更に追加して散りばめられており、ファンによる様々な分析考察がされているのが面白いですね。20年前に東浩紀氏が「動物化するポストモダン」で「データベース消費」としたものの延長線があります。

そして、本作は今までの全てのエヴァンゲリオンの物語を包括し、約25年間の決着をつけるという意味で、ふさわしい作品だったと思います。

過去の経緯を踏まえた作品ではあるので、単体の映画作品としてのストーリー性だけで語ることは難しいですが、映像や表現技法も素晴らしいので、今後も語り継がれる作品だと思います。

 

妖怪がテーマの場でエヴァンゲリオンの話をするのは少し場違いなように思われるかもしれませんが、「誤配」がイノベーションやクリエーションの源になる場合があるということで、ご容赦ください。

こじつけに聞こえるかもしれませんが、エヴァンゲリオンのおどろおどろしさやクリーチャー性は、妖怪に通じるものがある気もしました。

聖書をモチーフとした物語や、「セカイ系」の超克、「父殺し」といった宗教性も、妖怪とつなげて分析してみると面白いと思います。(個人的な今後のライフワークになるかもしれません。)

 

 

文=渡辺恵士朗

 

■渡邉恵士老(けいちゃん)

北海道札幌市在住。旭川市出身。早稲田大学人間科学部卒。在野の妖怪研究家。ITコーディネータ、公認情報システム監査人(CISA)、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)。

現在は経営・ITコンサルティングを生業として、北海道札幌市に居住しつつ道内各地や東京などを駆け巡っているが、大学の時には民俗学・文化人類学を学んでおり、ライフワークとして妖怪の調査研究を続けている。

現在住んでいる北海道にまつわる妖怪や、ビジネス・経済にまつわる時事ニュースと絡めた妖怪の記事を執筆中。

Twitter:https://twitter.com/keishiro_w

ブログ:http://blog.livedoor.jp/meda3594/

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