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信頼できない守り手、送り犬

どうも、涼しくなってきましたね、神代です。さて、皆さんは「イバイバおじさん」という都市伝説(不審者?)をご存じでしょうか。

三重県に住む友人から聞いた話なのですが、イバイバおじさんは黒服を着た痩せぎすの背丈が高い男性で、いつも張り付けたような笑顔を浮かべているそうです。

イバイバおじさんの犯行は主に夕方から夜、小中学生を狙って行われます。彼は下校時間を狙って、被害者の家の入り口の影など家に極めて近く見え辛いスペースに潜むのです。そして、横を何も知らない被害者が通り過ぎようとした瞬間に現れ「イバイバ、バイバイ」と声をかけて走り去ります。

彼は実際に子供に手を出したりはしないそうなのですが、そもそも他人の住居域に侵入するのは立派な犯罪ですし、家の門の前という気が抜ける空間に潜むのは非常にタチが悪いです。想像するだけでゾッとするような不審者ですが、1週間ほど地区を騒がせた後にその地区からぱったりと姿を消してしまったそうです。

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不審者、人さらい、野犬など、オカルト的な要素を除いても、夜道が危ないのは今も昔も同じ事のように思います。今日紹介する妖怪「送り犬」はそういった物から人間を守ってくれることもある妖怪です。この妖怪は送り狼、送り鼬など地域で呼び名が変わる妖怪で、その根本的な特徴は二つあります。

一つ目は、家に帰ろうとする人間に着いてきて他の妖怪や害獣から守ること

二つ目は、その人間が転んだ時、噛み付いて食い殺すこと。

要するに「転ばなかったら守ってくれるが、転んだ場合は普通に食い殺される」ということ、余りに二択が極端すぎますが二重人格か何かなんですかね……。とはいえ、こういうおよそ人間の理解を越えた行動をするのは、妖怪が生々しく人外の存在であるという事を認識できて非常に好ましいです。

同じ犬の妖怪でも、犬神は憑き主か、その家の血筋に取り憑くという存在の範囲が限定された妖怪でした。しかし、送り狼は山道を歩く人間であれば見境なく取り憑きます。そのため、山道を歩くのであればこの妖怪と出会うことを能動的に回避する手段は基本的に存在しません。

ですがご安心ください。送り犬に憑かれた後、目の前で転んだとしても助かる方法があるんです。

うっかり転んでしまった後に「ちょっと休憩するか」「しんどいな」などと言って、さも「転んだのではなく小休止を取るために腰を落ち着けましたよ」という雰囲気を醸し出すことによって、送り犬は「そっか^^、転んだんじゃないなら待つね^^」と騙されて引き続き護衛をしてくれます。ちょろい、可愛い。

このように、対処法さえ知っていればこの妖怪は基本的に有益な妖怪です。

こういった記事を書いていると、妖怪よりもイバイバおじさんのような人間の方が100倍怖くなりますね……ごめんよ、なんでも妖怪のせいにして……ちなみに、邪な考えのもとに女性を家に送る男性を「送り狼」といいますが、その語源はこの妖怪だそうです。

『隙を見せたら襲いかかってくる』という意味では、男性の送り狼も妖怪の送り狼も似たようなものだなと変に納得してしまいました。

(画像:狂歌百物語)

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