蕗(ふき)の葉の下の人、コロポックル
とうとう北陸も梅雨入りしましたね、神代です。今日は、私が主催しているオカルト座談会「北陸オカルト会」で話した精霊の話を書こうかと思います。
皆さん「コロポックル」と言う精霊をご存知でしょうか。シャーマ●キングのホ■ホロが出てきた方は同世代です。握手しましょう。
コロポックルは北海道に伝わる精霊で、名前の意味は「蕗(ふき)の葉の下の人」。古くは人間と共に暮らし、漁や狩りで得た魚や肉を物々交換で人間に分けてくれたりもしたそうです。
「蕗の葉の下にいるっていうぐらいだから、手のひらサイズの可愛い精霊さんなんだろうなあ」と思われがちなコロポックルですが、北海道の蕗は大きいもので高さ3メートル以上になる種類もあり、想像でのサイズ感は余り当てにならなさそうです。
事実、伝承の中のコロポックルは、人間と同じかやや低め位の背丈であるとされています。
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そんなコロポックルですが、人間にとって利益をもたらしてくれるだけの存在ではありません。時には人間の勝手な振舞いに怒りを抱くこともあります。
伝承曰く、一般的にコロポックルは人に姿を見られることを酷く嫌います。実際、コロポックルとの物々交換は、夜に家屋の窓から手を差し入れ、お互いの姿が見えないように行うという方法を取るほどでした。
しかし、ある晩好奇心の強い人間の若者が、取引のために差し出されたコロポックルの手を引っ張り、窓の中に引き入れてしまいます。
長年の平穏な付き合いを台無しにするような若者の軽率な行為。これに怒ったコロポックル達は、人との関係を断ち北の海の彼方へと去ってしまったという事です。
また、別の伝承では、コロポックルはアイヌ民族に迫害を受けたせいで出て行ったとする説もあります。その際、コロポックルは去り際に自らを迫害した人間の土地に向かって「トカップチ」と呪いの言葉を掛けたという事です。
トカップチの意味は「水は枯れろ、魚は腐れ」
自らを迫害した相手への直接攻撃ではなく、兵糧から攻めてくるというのは中々陰険策略家な精霊ですね。
兎にも角にも、呪いの言葉を受けたその土地は、明治時代に再び開発されるまで長く不毛の地であったという事です。一説によると、その土地は現在の北海道ば十勝市であり、呪いの言葉「トカップチ」が市の名前の由来であるとされているとか。……ホントに反省してんのか?
以上、コロポックルの伝承を二つ紹介しました。この伝承は、例え相手が自分より小さな存在であっても、誠意を尽くして接さなければしっぺ返しを受ける事もあるという、ある種の教訓じみた伝承なのかもしれませんね。
(画像:いらすとや)
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